お灸のすすめ

お灸は1500年前に渡来 

お灸は、中国から朝鮮半島を経て約1500年前に仏教とともに渡来し、布教とともに日本中に広まりました。初期のころは身分のあるものしか利用できませんでしたが、鎌倉時代には一般化し、徳川時代には鍼灸全盛期となりました。庶民にも広く伝えられ、自らお灸をすえる習慣が広まっていったのです。

髷(まげ)長く腰曲がるまで生きたくば 背(せな)と足との煙たやすな

沢庵和尚

その昔は、和尚さんが地域の人に健康や養生について教えていました(仏教の教えと共に、タクアンの漬け方もお灸の効能も教えたようです)。
江戸時代の平均年齢は40歳代前半。このころに多かった疾患は天然痘、はしか、水疱瘡などで、罹患したらなすすべなく多くが命を落とす病でした。予防するには抵抗力を上げるしか方法がなく、お灸をすえることは日常的であったようです。実際、大病をしなければ長生きもできました。

冷えとお灸

現代は世界100カ国以上で鍼灸治療が行われています。疾患の治療や予防にも効果が認められ、科学的究明も進められてきました。医療費が増大しているこの時代、私たちの祖先が自らや家族に灸をすえて病を予防したように、現代の私たちも日本の伝統医学を利用しない手はありません。

諸病は冷えが原因していることが多くあります。特に腰痛、膝の痛み、のぼせ、不眠症、自律神経失調症などは冷え症の治療で改善されることが少なくありません。足の三里、三陰交、失眠穴などのツボが有効で、お灸ならば自分でもすえられます。市販のお灸には熱さのレベルがありますので、最初は熱さの弱目のものを選び、徐々に自分に合った熱さのものを選ぶようにしてみてください。「気持ちよい」と感じることが大事です。

お灸をすえ続けると免疫力があがり、風邪を引きにくくなります。今は火傷の心配なくすえられる便利なお灸が薬局などでも売られているので、気軽に利用できます。もちろん、当院でも販売しています。治療のときにお灸のすえ方も指導もいたしますので、興味のあるかたはご相談ください。