不妊治療について

冷えと不妊の関係

これまでの経験から、不妊症の患者さんの多くは冷えをお持ちであると実感しています。冷え症でつらいと感じていても、それが不妊症と関係するとは考えていない方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし特に女性の場合、いろいろな病気は冷えと関係することが多いのです。

身体が冷えているとその人本来の力が発揮できません。免疫力は落ちるし、各種ホルモンの働きも低下してしまいます。検査の数値に異常がでる「病気」ではなくても、東洋医学的には大きな問題となります。下の表は過去に旧・慶愛クリニックで不妊治療と鍼灸治療を受けた患者さんに、「気になる症状」について聞いた問診結果です。

20代から40代不妊症患者65人への問診結果(複数回答)

寒がりで足腰が冷える 47人・78%
肩が凝りやすい 46人・77%
クーラーにあたるのがいやだ 36人・60%
生理が不規則である 33人・55%
疲れやすく持続力がない 29人・45%
朝起きにくく寝坊しやすい 27人・39%
腹がはってガスが出やすい 26人・38%
低血圧で立ちくらみしやすい 24人・37%
生理の量が少ない 24人・36%
10 便秘がちである 20人・33%

不妊治療8年目Aさんの例

以上のように、全体の8割近くが冷えに悩んでいるという結果でした。この10項目のうち9番を除く全てに該当した38歳の患者Aさんは不妊治療歴8年でした。お灸をすえ続け、半年後に同じ問診をしました。ほとんど同じ結果でしたが、大きく違うところは4番の生理不順がなくなったことです。他は「今も冷えるが、以前より楽になっている。症状はあるが、程度が変わった」という回答でした。身体が楽になるのに合わせて、少しずつ卵胞や内膜の質が改善され、ホルモンのバランスも整っていきました。その後Aさんは姙娠に至り、経過も順調で、無事出産までこぎつけました。

鍼灸をしても症状が劇的に変わるものではありませんが、少しずつ身体のレベルが上がっていきます。結果的に「生理痛がなくなった」「風邪をひかなくなった」「便秘が改善された」等の変化が現れました。その人本来の力が発揮できる状態となり、姙娠できる身体作りができたといえます。